建築費用について

ここでは、建築費用についての考え方など、建築家と家を建てることにおいて重要なことをお知らせしています。

建築家に依頼すると一般的に価格が高くなると思われているようです。

どの家も構造や仕様が異なるので一律に比較することはできません。

ただし、建て主が支払うお金の使われ方には、住宅メーカーと建築事務所とでは大きな違いがあります。

そのあたりをわかりやすく説明したいと思います。

家の建築に投入される費用の比較 〜 建築家は高い?

住宅メーカーや工務店は設計・監理もやりますが、施工(建築工事)が中心です。

契約金額にはこの両方が含まれます。

もちろん、その内訳は施工の費用が圧倒的に大きくなります。

それに対し、僕達、建築家は設計・監理が仕事の中心となります。

なので建築家と家を建てる方は下のように建築家と工務店と2つの契約を結びます。

設計・監理契約:建築家(建築事務所)と結ぶ 施工契約(工事請負契約):工務店と結ぶ

家を建てる人にとって、支払う金額を考慮する時に最も大切なのは、

「工事原価」について知っていただくことです。

「工事原価」とは、

あなたの家を建てるために使われる金額

のことです。

ここで知っておいていただきたいのは、例えば、契約金額が2,000万円であっても、「工事原価」が2,000万円では決してないということです。

大手住宅メーカーや工務店は「工事原価」を公表していませんが、大手住宅メーカー8社が公表しているIR情報を元にした試算や、住宅調査機関、業界関係者の話などを総合すると、大手住宅メーカーの工事原価はおおよそ60%程度と考えられています。

ということは、大手住宅メーカーと2,000万円で契約した場合、「工事原価」は約1,200万円ということになります。

では、差額の800万円は何に使われるのでしょうか?

この800万円は、住宅メーカーの「販売管理費」「経費」「利益」になります。

建てる人にとってはどこかへ消えていくお金です。

すなわち、この800万円は、あなたの家を建てるためには使われません。

家を建てる人にとっての理想は、

「契約金額」 = 「工事原価」

だと思います。

支払う金額 = 建築資材購入+労務費+設計・監理費

であることが最も望ましいところです。

これに対し、住宅メーカーは、あなたが支払う金額から販売管理費や経費、利益を捻出しなくてはなりません。

これらに充てられるのが、さきほどの800万円です。

一般的に大手住宅メーカーの販売管理費や経費には下のような費用が含まれます。

  • 住宅展示場設置運営費用
  • 全国に展開する支店の維持管理費
  • 本支店の営業マンたちの給料や教育費
  • 本店管理部門の人件費・経費
  • テレビCM、新聞・雑誌などの広告費用
  • カタログやパンフレット作成費用 etc

もしも、あなたが2,000万円支払ったとしたら、そのうちの1,200万円程度が、あなたの家を建てるために使われ、それ以外は、上記のような販売管理費、経費、利益に充てられるということになります。

これに対し、僕達建築家にご依頼いただく場合は、

工事原価 = 

1.建築事務所の設計・監理費用

2.工務店の建築資材購入+労務費

となります。

もちろん、僕達も工務店も適正な利益を得なければ経営が成り立ちませんが、建築家や協力いただく工務店の業務において販売管理費はほとんど発生しませんし、その収益構造は住宅メーカーと比べると大きく異なります。

下のイラストでわかりやすく説明しています。

予算2,000万円に占める工事原価の比較

ご理解いただけたでしょうか?

大切なのは、あなたが支払うお金が何にどれくらい使われるのか、ということをきちんと理解した上で、どこに依頼するかを選択していただきたいのです。

設計・監理について

住宅メーカーの家は、決められた規格の枠内で設計され、多くの工務店も自分たちが得意な工法や使い慣れた建材に多少なりとも影響を受けるため、自由な設計には限界があります。

これに対し、建築家は施工を請け負わないため、決められた規格や施工業者のやり方や都合に影響されることがなく設計に専念することができます。

ですから、できあがる家は自ずと違ってくることは明白だと思います。

僕達、建築家の重要なもう1つの仕事に監理があります。

監理とは、実際の工事を設計図書と照合し、それが設計図書通りに実施されているかいないかを確認し、なされていない場合は建て主に代わってやり直しを指示することを言います。

住宅メーカーや工務店で家を建てる場合は、社内の人間を監理者に充てることが一般的です。

ただ、そうすると、工事をする人と監理をする人がともに同一組織(同じ立場)の人間となり、客観的で適切な監理が行われない可能性が生じます。

建築家に依頼する場合、監理業務は建築家が行うために、住宅メーカーや工務店のような身内監理とは異なり、あくまでも、建て主の立場で厳しい目をもって監理することができるためミスや手抜き工事を事前に防ぐ可能性が高まります。

費用のチェック機能

建築家にとって、

【その費用が適切か否か判断する】

ことも大切な仕事です。

建築家は、あなたの家を建てるために、工務店が提示してくる見積書に書かれた建材や多くの部材、作業項目、労務費、経費を1つ1つチェックします。

その価格は適切なのか、家に対し必要十分な品質なのか、工事に必要な作業はすべて含まれているか、などを確認します。

工務店が提示する内容に必ずしも問題があるとは限りませんが、工務店には工務店の都合があるでしょうし、その中には、ムダと思える作業や費用が含まれることもあるでしょう。

逆に、構造や強度を維持するために必要な作業が軽視される場合もあるかもしれません。

また、その工務店があなたの家を建てるにふさわしい技術、技能を持ち合わせているのか、それを可能とする人員を確保でき、スムーズな工事を遂行できるか否かも、実際に工務店の責任者と会って確認します。

建築家はあなたに代わって、多くのことをチェックします。

前述の工事監理業務と合わせて、住宅メーカーや工務店の家づくりと、建築家の家づくりの大きな違いと言えます。

価格表示のからくり

住宅メーカーの広告などで「坪単価○万円」と書かれているのをよく目にします。

単純に広さをかければ家づくりに必要なお金が計算できる気がしますが、これは大きな間違いです。

家づくりには、

  1. 本体工事
  2. 付帯工事
  3. 税金などの諸費用

が必要です。

予算2,000万円に占める工事原価の比較

住宅メーカーや工務店が提示する坪単価や総費用に含まれるのは

1.本体工事

のみの場合が多いようです。

本体工事とは、基礎、土台、柱、梁、屋根、内装、建具、電気配線、屋内の各種設備工事などですが、残念ながら、これだけで生活することはできません。

生活するためには、

2.付帯工事

が必要になります。

付帯工事とは、屋外給排水工事、上下水引込み工事、ガス工事、 標準的な外構工事などを言います。

住宅メーカーや工務店の価格には、これら付帯工事に加え、電気の引き込みや室内照明器具・エアコン・暖房器具 諸経費なども含まれないケースが多いようです。

これに対し、僕達、建築家と建てる場合の施工価格には、付帯工事や室内照明器具なども含まれています。

よって、坪単価や工事価格だけを比較すると、いっけん安く見える価格であっても、その中に何が含まれるのか、事前に確認しておかないと予算計画の見直しを迫られる可能性があるので気をつけてください。

設計・監理費用の目安

僕達のアトリエでは、設計・監理費用について以下を目安としています。

施工契約金額(工事請負契約金額)の15%~20%程度+消費税

『建築家と家を建てる』ことに興味を感じられたあなたへ

お読みいただき、ありがとうございます。

住宅メーカーや工務店で家を建てることと異なり、多少、わかりにくい点やご不安な点があろうかと思います。

お知りになりたいことがございましたら、いつでもご連絡ください。

そして、もしも僕達が建てた家にご興味を持たれたなら、ぜひ一度、家を見学してください。

そしてアトリエに遊びに来てください。

歓迎します。

前田紀貞

電話番号 03-6339-5435

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