建築家と建てる家 建築家との家づくり > クライアントから > クライアントから08:DEVICE#9
DEVICE#9
谷口 さん
場所 | 千葉県千葉市 | 竣工 | 2002年12月 | 職業 | クリエーター |
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こんな
想いから
33歳の時、3LDKのマンションを買いました。
車いすにとって、トイレ、キッチン、脱衣所、風呂は決して広くはありませんでした。
決して広くはないのに、使わない部屋が2つもありました。
車椅子の向きを変えるごとに、扉を開けるごとに、いちいち小さいストレスを感じてました。
なぜ部屋が余るのか。。
いったい、ここは誰のための家なのか。。
そんな素朴な疑問を感じながら、早くから、ここは一生暮らしたい家じゃない、との思いを強くしていました。
それから8年。
僕らはこのマンションでの生活をあきらめ、土地探しを始めました。
建築家と
の出逢い
『建築家と家を建てる』という新しい考え方は、奥さんから教わりました。
世の中にそんな建て方があるなんて、知りもしなかったんですよ、初めは。
それがここまでハマろうとは・・
人生、ほんとに何が起こるかわかりません(笑)。
住宅雑誌を見てて気になる家がいくつかありました。
なぜか、それらは全部、前田アトリエが設計した家でした。
どれも好きだったけど、中でも「FUNES」と「ALICE」が心に刻まれました。
自分が依頼すればどんな家ができるんだろう・・
と、まだ遠い先のことを想像しながら、でも自分の時だけ、とんでもないような変なのが出てくるんじゃないかとつい、ありもしない「不安」に怯えることすら楽しんでました(笑)。
家づくり
への想い
ワンルームでかまわない。
無駄なものは省いて、常識にとらわれない家がいい。
敷地全部を使ってほしい。
最初にそんなことを伝えたように思います。
それが、こんなとんでもない家ができる始まりになろうとは(笑)。
だって、家ができて初めの2,3ヶ月、宅配のお兄さんたちから
『お宅が見つからないんですけど・・』
という電話が何度かかってきたことか・・
未知との
遭遇
CGを見て大混乱し、模型を見てひっくり返りました。
それくらい驚きました。
平屋?
外にすべて閉じる?
家の中にガラスの庭?
あんまり驚いたので、『こんな家、ほんとうにできるんですか?』ととても失礼なことを前田さんに言ったの覚えています。
そしたら、『できますよ』とふつーに応える前田さんがちょっと憎らしかったですね(笑)。
何もかもが、待ち続けた僕らのちっぽけな予想をはるかに凌駕するサプライズの連続でした。
いいのか/悪いのか、好きか/嫌いか、そんな原始的な判断すらできないくらい、いっとき、頭が停止してしまったようでした。
「もーいーくつ寝るとー」みたいな日を毎日毎日繰り返してようやくやってきたプレゼンの日。
前田アトリエと出会い、竣工するまでの長い時間の中でダントツで記憶に残っているのがこの日です。
ようやく興奮が冷めた頃、僕らはこのファーストプランを何としても実現したいと思いました。
それから1年半、前田アトリエとの家づくりを通して、僕ら夫婦は、さらけ出し、ぶっちゃけ、それまでの10年で気づかなかったお互いの本性をたくさん目にすることになりました(笑)。
常識から解放
されたら・・
前田アトリエとの家づくりを通して一番感じたことは、僕らがいかにつまらない『入れ知恵』に縛られた生活をしてきたか、ということでした。
住宅には住宅の専用の建材や部材があると勝手に思い込み、家には玄関が必要だと決めつけ、家は「中」で「外」ではないとあたり前のように考えています。
でも、「中」の中に「外」があってはいけないと、誰が言ったんでしょうか。
家の中に、「外」があってもぜんぜん問題ないし、そんなつまらない常識という箍(たが)が外れた時、僕らの目の前に、決して小さくない『感動』が生まれることを知ったのは、この家に住んだからです。
今や『常識を打ち破る』は、僕が経営する小さな組織の行動指針でもあります。
DEVICE#9
の空気
中と外が幾重にも連なる空間を、目が串刺しにしてしまうようなレイアウトが、僕の中にいまだに居座る常識と衝突し、脳内に小さいトラブルを引き起こしますが、案外それが心地いいんです。
この家の中では、小さな事件があちこちで起こります。
それがどんなに楽しいか。
月夜がどんなに明るいか。
流れ落ちる雨がどんな模様を描くのか。
ほんとうは世界がどれくらい美しいか。
教えてくれたのが、DEVICE#9です。
今、僕らが
いる時間
竣工した家を味わいながら暮らす長い長い時間と、竣工までのエキサイティングな色褪せない時間が、ともに僕らの中にあります。
それは、言葉に置き換えることが悩ましいくらいに幸せなことなんです。
他の施主の方々は、たぶん僕とは異なる言葉で、彼らの大切な時間について語っていると思います。
それらの時間を、前田アトリエとともに家を建てた全員の共通言語として、同質の感動とともに共有しているんじゃないかと思うんです。
12年が経過した今も思います。
暗くした家の真ん中でぼーっと酒を飲みながら、DEVICE#9は時間をかけて、一層、DEVICE#9らしくなっていくんだろうと。
未来の施主の
みなさんへ
毎週、毎週、週末になると夫婦で現場に通いました。
僕らが費やした家づくりの時間は2年間におよびました。
今思えば長くもあり、とても短くも感じる不思議な時間でした。
建築家との家づくりは、夫婦の知らないところを炙り出し、さらけ出します。
そして最後は理解しあい、手をたずさえて壁を超え、竣工の頃には新しい絆が生まれたように思います。
そして、今、この愛おしい僕らのためだけに生まれた空間を、また二人して味わいつくす毎日です。
竣工から既に12年が経過しました。
もしもあなたが建築家と家を建てたいと思うなら、ぜひ
長い時間の家づくりを夫婦、家族で楽しんでください
野次馬のように何にでも興味を駆り立てられ、騒々しく楽しんでください
竣工までの時間は、きっとあなたとご家族にとって人生最大のお祭り騒ぎになります。
だから、楽しまないのはもったいない。
家は家族とともにずっと一緒です。
味わい深く幸せな時間がずっと続きます。
でも、家ができるまでの、あのエキサイティングな時間をもう1度過ごしてみたい、と思ってしまうのもまた事実なわけです(笑)。
前田アトリエとの家づくりは、『最高の大人の遊び』ですから。
お読みいただき、ありがとうございます。
想い描いた夢を実現するパートナーとして僕達を選んでくださった谷口さんから頂いたメッセージをご紹介させていただきました。
もしも、あなたが、こうした家の建て方にご興味を持たれたならぜひご連絡ください。
そしてアトリエに遊びに来てください。
歓迎します。