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卒塾生インタビュー


綱島 洋平

実務プロコース 第1期 卒塾

綱島 洋平

  • 在塾期間:2013.5 - 2013.12
  • 入塾時:設計事務所勤務
  • 現 在:同上(2013年末時点)

『一人の“建築家”として考え、
 生きていくための「根」を叩き込まれる経験』


 --- 綱島さんが建築塾に入ったきっかけは何でしたか?
 綱島 私は大学卒業後某ゼネコンに就職し、仕事に没頭する毎日を過ごしていました。そんな中、専門職としての知識や経験は深まる一方で、会社組織にいることで自分の視野が次第に狭まっていくことに大きな不安を抱くようになっていきました。それで、入社7年後に今勤めているアトリエ事務所に転職したんです。

転職自体、将来独立することを目的としていたので、休日は図書館等で独学していたんですが、結局何を学べばよいのか分からなくなってしまいました。そんな悩みを抱えているときに前田紀貞建築塾の存在を知って、すぐに入塾を決心したんです。正直、藁にもすがる思いでした(笑)。
 --- 既に実務に就いているプロとして、「塾」に入ることに躊躇はありませんでしたか?
 綱島 躊躇というよりも、コース名が『実務プロコース』なので「プロレベルじゃないと、ついて行けないのではないか?」「場違いなのではないか?」という不安がありました。ですが実際フタを開けてみると、塾生の中には独立されて第一線でバリバリ働いている方もいる一方で、設計の仕事を始めたばかりの方もいるなど、様々な経歴を持つ方々が入塾されていたので、安心しました。
 --- 実際入塾してみて、建築塾と大学や他の専門学校、職場での研修などとの違いはどんなところだと感じましたか?
 綱島 大学の講義や会社の研修では、すぐに役立つ知識や技術等は学ぶことができます。しかし、それはある程度の努力をすれば誰でも身につけることができるものですよね。

前田先生はよく「根」という言葉を使われますが、建築塾はまさにこの「根」を学べるところです。一人の“建築家”として物事を考え、生きていくための「根」となる部分を叩き込まれます。「根」を知り、育てることで、そこから自分だけの生き様や考え、そして建築が生まれてくることを学びました。
 --- 建築塾で一番苦労したことは何ですか?また、それをどうやって乗り越えましたか?
 綱島 もともと疑い深い性格なので、今までの固定概念を捨てることに多少苦労しました。しかし、講義を受け、前田先生との対話を重ねていくうちに、今学んでいることは間違いなく一つの答えであると確信しました。そこからは、全く新しいことを学ぶつもりで、とにかく一度受け入れてみようと考え方を変えました。
 --- 毎週の授業と仕事との両立には問題ありませんでしたか?
 綱島 私の場合は勤務先の理解もありましたし、『実務プロコース』は講義中心で設計課題に長い時間を割くようなことはなかったので、特に問題ありませんでした。また、どうしても仕事で来られない日には補講日を設けて頂いたので、授業を休むことは一回もありませんでした。
 --- では、綱島さんが建築塾で一番印象に残っていることは何でしょう?
 綱島 講義の時は毎回思ったことですが、前田先生が自身の身を削って、我々に多くのことを伝えてくださったことです。「今まで培った知識や経験を全て惜しげ無くさらけ出すから、その上に次の時代の建築を生みだして欲しい」という思い、情熱に何度も心打たれました。

また、卒塾生の方々が入れ替わり立ち替わり、講評会や宴によく顔を出すことも印象的ですね。前田先生、アトリエスタッフ、建築塾を愛されているのだと感じます。
 --- 実務者としての視点から、特に実務に役立つのはどんなところでしょう?
 綱島 何よりも、物事に取り組む「心構え」を学べることです。言葉にしてしまうととても当たり前で、抽象的な、建築実務以前のことに思えるかもしれません。しかし、実際に前田アトリエという“建築の現場”で、前田先生やスタッフの皆さんがどのような「心構え」で建築と向き合っているのかを目の当たりにすると、あらゆる面で自分が全く足りていなかったことを痛感させられます。「心構え」というより「覚悟」と言った方が正確かもしれませんね。

もちろん、毎回の講義で教えていただく知識や技能も、長きに渡って先鋭的な作品を作り続けてきた前田アトリエのノウハウや経験、反省が「これでもか」というくらい詰め込まれた貴重なものばかりで、そういうものが実務者としての糧となったことは言うまでもありません。
 --- では、綱島さんが建築塾で得た一番大きなものは?
 綱島 あらゆる面で己の無知を知ったことでしょうか。それを知ることでようやくスタートラインに立てた気がしますそこからは常に「自分にはあらゆるものが足りない」という危機感を持って、己と向き合っています。

入塾していなかったら、ただ闇雲に「建築の知識」を詰め込み、巷で「良いと言われている」デザインの焼き増しをするだけの設計者になっていたと思います。今は、建物の表層的なデザインだけでなく、世界で出会う全てのことが建築につながるということを理解できたので、建築以外にも哲学や音楽など幅広く学びながら自分の「根」を育てることができ始めていると感じています。
 --- では最後に、過去の自分と同じような立場や思いをもつ後輩や、入塾を検討している方に一言お願いします。
 綱島 日々の生活、建築の勉強や仕事の中で「何か違う気がする」という漠然とした思いを持っている人は、この建築塾でその「何か」を知ることができると思います。勿論、その「何か」は狭い意味での建築に限ったことではありませんが、それが必ず自分の「建築」に返ってくることも理解できるようになるでしょう。

私もそうでしたが、他には似たものがないユニークな学校なので、入塾に不安を抱いている方もいるかもしれません。ですが、その一歩を踏み出すことさえできれば、それぞれの人生にとって大きな財産を手に入れることができるはずです。
 --- ありがとうございました。
 綱島 ありがとうございました。

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