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卒塾生インタビュー


轡田 真波

設計演習コース 第7期

轡田 真波

  • 在塾期間:2012.02 - 2012.08
  • 早稲田大学 創造理工学部建築学科3年
  • 現 在:同 4年(2013年末時点)

『建築塾で「建築の楽しみ方」を知りました』


 --- 建築塾に入ったきっかけは何でしたか?
 轡田 大学1年生の春休み、友だちの連絡で「大学の先輩の手伝いをしないか」と誘われたんですが、その先輩というのが当時建築塾に通っていた方だったんです。その先輩から塾の話を聞いたとき、今まで私が描いていた「建築」の在り方とは全く違う世界観を感じ、とても引き込まれ、すごく興味を持ったのが最初のきっかけです。
色々あってその時すぐに入塾することはできなかったのですが、毎週日曜に開かれていた建築塾の公開講義や前田アトリエのイベントなどに参加させていただいているうちに「もっと設計を楽しみたい」と思う気持ちが強くなり、入塾することを決意しました。
 --- 建築塾と大学や他の専門学校との違いはどんなところでしょうか?
 轡田 一つは、前田先生との距離が近く、大学の授業のような形式や時間にとらわれずに「考えさせてくれる時間」をつくってくれる場所だ、ということだと思います。今日の授業でこんなことがあって、こんなことを感じた、自分ならどうするだろう…などということを、塾の日は、たくさん考えることができます。
 --- 一応講義の時間は決まっていますけど、大学の授業のように「授業が終わったらさようなら」という感じではないですしね。無味乾燥ないわゆる「教室」ではなくて、夜はバーにもなる親密な空間での授業だというのも、轡田さんのいう「考えさせてくれる時間」が生まれることに繋がっているのかも。
 轡田 もう一つ感じる大きな違いは、「緊張感」が常に側にあることです。「マイペース過ぎるかも・・・」と自覚するところのある自分にとっては、悪いところを正すきっかけになる良い場でした。
 --- 当時を思い出してみて、建築塾で一番苦労したことは何ですか?
 轡田 演習課題の中で、案のベースになる形を出したり、言葉で説明できないときは大変でした。自分で練ったつもりの案でも、そこに一本「筋」が通っていないと全てボツになることもありました。
 --- そういう時に、その壁を乗り越える自分なりのやり方というのはありましたか?
 轡田 何も出ないときは、自分の殻に閉じこもっていても仕方ないです。私の場合は、大学の課題と塾の課題の二つを並行して、スイッチを切り替えるようにしてやっていました。そうすると、余計に考えている無駄な時間が減り、楽しくやることができました。建築をやっていて楽しくないときも、何とか自分で楽しい方向に持って行くことも大事だと思います。そういう「建築の楽しみ方」も建築塾で知りましたね。 でも、壁を乗り越えられた一番の理由は、同期の塾生と頻繁に連絡を取り合っていたことですね。それぞれ大学も、普段の生活も違うけれど、お互いが一人で黙々と設計課題をやっていても苦しいだけ・・・ということにみんなが徐々に気がついてきたんです。皆が同じ課題に取り組んでいるので、分からないことは夜中でも長電話して教え合ったり、時には意見をぶつけ合ったりする仲間がいたことがとても大きかったと思います。卒熟して1年以上たちますが、みんな今でもとても良い仲間です。
 --- 建築塾にはもともと何かしらの問題意識を持った人が集まるので、そういう仲間に出会えるチャンスも大きいんでしょうね。ちなみに、そんな厳しくとも楽しい建築塾(笑)に通っていた中で、一番印象に残っていることは何でしょう?
 轡田 沢山あるんですが・・・まだ塾生ではなかった頃、前田アトリエが参加していた横浜トリエンナーレで色々お世話になったのをよく覚えています。講義を聞いたり、パーテイの準備をしたり、バーの手伝いをしたりと、狭い意味での「建築」の範囲を超えて、毎日とても良い経験をさせていただきました。 あとはやっぱり授業の後の「宴(うたげ)」ですね。先生や仲間の塾生、アトリエのスタッフの皆さんと一緒にたくさん話をしたかったので、いつも終電を逃してしまい、朝までアトリエに泊まらせてもらっていました(笑)。残った仲間やスタッフの方と夜更けまで語り合った時間が強く印象に残っています。それから、「宴」でスタッフの方が調理してくださった美味しい料理をいただくのも、すごく幸せな時間でした!
 --- 轡田さんのいた7期は特に「朝までコース」の人が多かった気が・・・(笑)。では、そんな濃密な時間を過ごした建築塾で、轡田さんが得た一番大きなものは何だと思いますか?
 轡田 同じような背景や年齢の学生が集まる大学とは違い、さまざまな価値観を持った人や、生き方が違う人、これまでの人生が自分と全く違う人と関わることができたところです。そういう梁山泊みたいな場所に集まる色々な人の意見を聞いて、「自分だったらこうするなあ」とか、「この人の意見は間違っているな」と思うこともあれば、「間違っていると思ったけどやっぱり良いかも」と思い直したり、大きく影響を受けて価値観が変わったこともあったり・・・そういう会話を思い出しながら考える時間も増えました。もちろん、人の意見を聞いて、「流される」のとは違いますが、年齢もバックグラウンドもバラバラな仲間たちと話した時間は、私にとって勉強になることがたくさんありました。
 --- 大学生の塾生にとっては、そういう「外の世界」に触れられる機会も大きいということですね。特にこの塾には、どの期にも一癖・二癖ある人が飛び込んでくる傾向もあるので、余計に面白いのかもしれません。それでは、建築塾に入らなかったら今はどう違っていたと思いますか?
 轡田 死んでたかも(笑)。「建築塾に行っていなかったら」というのが今では想像も付かないんですが・・・私は元々模型をつくることが大嫌いで、塾に入る前はすごくつまらない作業だと思っていました。でも、建築塾で「模型で考える」ことの楽しさを知ってからは、模型をづくりでもその他のことでも「人と違うことをしてみたいという」強い意思が生まれて、今ではとても楽しんでやっています。
 --- 次の質問は答えにくいかもしれませんが(笑)・・・轡田さんにとって、前田塾長はどんな人でしょう?
 轡田 先生は、塾生一人一人のことをすごく見てくれる方です。私にも、性格や生き方、さまざまなことについてアドバイスをしていただき、自分も深く考えるきっかけを与えてくれました。時に強い言葉も投げかけられますが、前田先生は人に対して「こうしたら良い」ということを述べられるときに強要をする方ではありません。だからこそ、素直に前田先生の言葉を聞き入れることもできたんです。 先生は建築で生きようとする意思が本当に強い方だと思います。そして、すごく正直な方です。だからこそ、先生が本気で笑ったときはこちらも爆笑してしまうんですよね(笑)
 --- では、前田アトリエのスタッフは?
 轡田 今考えると申し訳ないんですが・・・初めは「怖い・・・」というイメージしかありませんでした(笑)。でも、スタッフの方と1対1でお話してみたり、お酒を飲んでみたりすると、一人一人の方が、すごく尊敬できる方々だと知ることができます。自分なりの意見や考えを、とても強くぶれずに持っていて、何があろうが俺はこれだ、っていう考えが強くありますよね。そして、多くの経験を、詳しく、飾らずに正直に深いところまで分かりやすく語ってくださるので、1対1でお話をしているとものすごく引き込まれます。逆に、こちらが何か話をすると、それを親身になって聞いてくださるのがすごく伝わってきます。いつも「言葉」の中に強い感情が入っているので、それが強く心に響き、いつまでも残りますし、そういう方たちと話をしていると本当に良い時間だと思えます。
 --- それでは最後に、過去の自分と同じような立場や思いをもつ後輩や、入塾を検討している方に一言お願いします。
 轡田 まずは気軽に来てみてほしいです。私は最初「建築を学ぶ」というスタンスでこの塾に来ましたが、それ以上に「建築の外側」をこの塾でたくさん学びました。とても男臭い環境でもあり(笑)、女性だと余計にいろんな「外」の価値観に触れるので、考えることも男性より多くなるかもしれませんが、それが良さでもあるはずです。 入塾されたら、先生や塾から受け取るものばかりに寄りかからず、自分の思想を広げるため、個人的に勉強をしていくことも大切です。大学の勉強をしろと言っている訳ではなくて、たくさん本を読んだり、たまには共感出来ない考えに触れてみたり、ということもしてみてください。 前田先生がよく「塾は失敗する場だ」とおっしゃる通り、塾では失敗することの悔しさも、学ぼうとすればするほど学べます。塾を出た後も泣きたくなるほどの失敗はいくつもしましたが、それでも貫いて行けるような強さも、この塾で学びました。入るからには、一つや二つの失敗に負けることなく、建築を楽しむ強い意思を持って最後までやり通してください!
 --- ありがとうございました。
 轡田 ありがとうございました。

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