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卒塾生インタビュー


朝井 逹也

設計演習コース 第2期 卒塾

朝井 逹也

  • 在塾期間:2008.4 - 2008.10
  • 入塾時:早稲田大学 建築学科2年
  • 現 在:早稲田大学大学院(2013年末時点)

『大学では絶対に触れることのできない建築の“醍醐味”』


 --- 朝井さんが建築塾に入ったきっかけは何でしたか?
 朝井 入塾を思い立つより前から、前田先生のことは雑誌等で知っていました。ある時ふとどんな方なのだろうと思ってホームページを訪れたのが入塾のきっかけです。そこで先生の塾に対する考えや建築に対する想いを初めて目にし、衝撃を受けたことは今でも覚えています。連絡をする前は,全く新しい環境に触れることに多少の不安感はありましたが,「今行かなければ絶対に後悔する!」と感じるものがあり、すぐに連絡しました。
 --- 実際に入ってみて感じる、建築塾と大学や他の専門学校との違いはどんなところでしょうか?
 朝井 決定的に異なる点として、前田先生という建築家から一対一で親身になって教えていただけることですね。設計演習は一人一人の作品を丁寧に見てもらえる個別指導で、各自のレベルややりたいこと、性格的なところまで踏まえて指導していただけるので、ほとんど何も知らなかった当時の自分でもついていくことができました。大学では人数が多く、優秀な人だけが壇上に上がり先生からの講評を受けられるというスタイルだったので、講評に上がれないと不甲斐ない想いだけが残って終わってしまうんですよね。
 --- 建築塾のエスキスや講評会では、塾生全員の案を先生やアトリエスタッフにじっくりつぶさに見ますもんね。ところで、朝井さんは在塾中にアトリエのプロジェクトの現場手伝いなどにも積極的に参加していましたよね?
 朝井 はい。いわゆる塾の授業以外の時間で、当時工事中だった建物で実際にアトリエによるDIY(セルフ施工)などをお手伝いする機会がありました。そういう課外での経験の機会がいろいろあるのも、建築家のアトリエが運営する塾だからこそだと思います。大学の授業では絶対に触れることのできない建築の醍醐味を感じることができました。
 --- 今思い出してみて、朝井さんが建築塾で一番苦労したことは何ですか?また、それをどうやって乗り越えましたか?
 朝井 苦労した事は数え切れないくらいありますが(笑)、演習課題に関して最初に突き当たった壁は「最初から一つの『良い』案を出そう」として行き詰まっていたことですね。でも、エスキスチェックの場で前田先生から「最初から良い案を出そうとするのではなく、まずはいくつかラフなアイデアを引っ張ってきてからそれらを良く吟味し磨いていくと良い」というアドバイスがヒントになって肩の力が抜け、次の週までに10案ほど案を出すことができました。
さらに、先生から各案に対して自分では感じることのできなかった良い点を教えていただき、そこから案を磨いていくことができました。建築の計画や形そのものについてのコメントというより、先生からいただく「方法のヒント」が、行き詰まった時に前に進むのを助けてくれた感じですね。
 --- 同じく当時を振り返ってみて一番印象に残っていることはなんでしょうか?
 朝井 「建築」という学問の幅の広さを思い知らされました。建築塾では設計演習と併せて「建築論講義」という、哲学や芸術、映画、科学等の異分野を横断的に扱う講義があります。一見、建築とは直接深い関係のない雑学的な話だと思われるかもしれませんが、決してそんなことはなくて、自分自身の知見を広げ、建築や自分自身を見つめる上で本当に必要な話ばかりです。 僕がいろいろな分野、ジャンルにたくさん触れたいと感じるようになったのは、あの「建築論講義」の影響がとても大きいです。
 --- では、朝井さんにとって前田塾長はどんな人ですか?また、アトリエのスタッフは?
 朝井 前田先生は、懐の大きい方です。厳しくも決して塾生を見放すようなことはせず、常に親身。生き方そのものが格好良い人ですね。先生のエッセイやブログ、Facebookなどを見ていただければその一端を感じてもらえるんじゃないでしょうか。また、スタッフの皆さんも、塾生にとってはいつでも親身になってサポートしてくれるこころ強い存在です。時に冗談を交えながらプライベートの話をすることのできる身近な存在でもありますね。
 --- 朝井さんが建築塾で得た一番大きなものは何ですか?それは今の仕事や生活にどう活きていると思いますか?建築塾に入らなかったら今はどう違っていたでしょうか?
 朝井 建築を考える上での技術や知識を得られたことはもちろんですが、自分としては生き方についての考えを得られたことが一番大きなことでした。建築を志す人に限らず、人として最低限の礼儀や作法といった本物の「格好良い」生き方を肌で感じることができ、今までの自分がいかに未熟であったのかを思い知らされる場でもありました。現在もまだまだそのような生き方ができず未熟な点もありますが、少なくとも入塾する前の自分とは異なり、そういうことができているか、常に自分へ問い質すよう心掛けています。
 --- 最後に、過去の自分と同じような立場や思いをもつ後輩や、入塾を検討している方に一言お願いします。
 朝井 どんなきっかけであれ、前田建築塾の存在を知ったというのも何かしらの「縁」であると思います。ぜひこの縁を見逃さず、一度足を運んでみることを強くおすすめします。前田先生をはじめ、アトリエスタッフの方達がいつでも暖かく迎えてくれるはずです。

自分自身の入塾の際のことを思うと、全くの新しい環境で不安に思うこともありましたが、今ではあの時勇気を持って一歩前に踏み出して本当に良かったと思っています。繰り返しになりますが、僕は大学だけでは得ることのできない、建築の知識や技術、生き方、友人を建築塾で多く得ることができました。皆さんも、この機会に半年間、とことん全力で自分自身と闘ってみてはいかがでしょうか。
塾長から推薦していただいた本の中で、今でも自分の教訓となっている文章があります。最後にその文章を、これから入塾する、あるいは入塾を検討している皆さんに送らせてください。

「非常事態と平常の事態とを,いつもまっすぐに貫いている一つの行動倫理である危機というものを、心の中に持ち、その危機のために、毎日毎日の日常生活を律してゆくという男性の根本的な生活に返ること」
——三島由紀夫『若きサムライのために』(文春文庫)より
 --- ありがとうございました。
 朝井 ありがとうございました!

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