前田紀貞アトリエ

波乗りというものは、一見した柔らかなイメージと正反対に、極度に精神的なスポーツです。
“いい波”がやってくるまでひたすら待たなければなりませんし、波乗りの殆どの時間は、この「待つこと」で締められています。
人生も全く同じです。「ここ一番」の時の為、私たちは毎日の単調で何の変哲もない時間をやり過ごします。
次に、大波を見つける眼力も必要とされます。沖から序々に盛り上がってくる水面のうねりが、本当に「ここ一番」となるかの精密な判断。
そして、いざ「ここ一番」の時。３mそこそこの波であれ、乗りそこねれば波に巻かれ背骨を折ることなど日常茶飯事です。盛り上がってくる大量の水の塊への恐怖をどう克服するか。これまた人生と全く同じ局面です。
波乗りでは、【Go for it】という言葉があります。大きな波（人生の大きなチャンス）がやってきたその瞬間には、一切おじけづくことなく腹を据え、「行くと決めたら行け」という意味です。私たちも、大きなチャンスを目の前にしたとき、その大きさにおじけづいてしまえば手痛い仕打ちが待っています。機であると判断したら、あとは一切の迷いを払拭して行くしかないのです。