典座 -TENZO- food&drink BAR

昭和30～40年代のオートバイや自動車。これらと上手に付き合えるようになることは、建築や人生の精進にたいそう役立ちます。
いつ故障するかもしれない機械、しかし今の製品よりずっと野性であった機械。それらの声や臭いを的確にキャッチし、状況に応じた対応ができなければ、真っ暗闇の凍えるような山道で一晩を明かさなければならなくなります。
こういうものたちと付き合っていると、どんな状況に遭っても、「なんとかする」ことが求められます。建築も同じです。
私たちには、できない理由を並べ立てて諦めることなど求められてはいません。とにかく、「なんとかする」という選択しかありません。理不尽であろうと泣きたくなろうとも、とにかく結果として状況を変える精神力が求められているだけです。
と同時に、こうした野性の機械にまたがって仲間たちと一緒に走ってみると、声すら出ぬほどの星空に出会い、知らなかった土地の味や酒を知り、嗅いだこともないような空気の臭いが体に染みてきます。冷たい風や雨の後の太陽や草の臭いがどれだけ幸福なものかも知るようになります。